リコちゃんが言うには、


『お昼休みの十二時半に、青い服の1年生の男の子が階段で転んでケガをしたから転ばないように助けてあげてなの』


だったわ。


まずは、練習用に簡単な事件ってことだったんだけど。


「そういえば、階段ってどこの階段だろう」


「あ!」


あたしは蓮と顔を見合わせた。

学校には南と北にそれぞれ階段があって、しかも一階から四階までは遠いから一度に全部なんて見れない。

どこで転んだのか聞いてくるの忘れちゃった!


「どうしよう」


「先回りするには場所を特定しないとな」


そうなのよ。時間はまだあるけど、転ばない場所で待ってても意味ないし。


「おそらく、一階と二階の間だよ」


「春音くん?」


「なんでわかるんだ」


「十二時三十分って時間を考えれば、給食の後校庭に遊びに行くタイミングだよね。一年生の教室は全部二階にあるから一階へ降りる途中の事故。リコが簡単な事件って言っていたことからも一年生が滅多に上がらない三階や四階に行くとは考えにくいからね」


「確かに一年生の頃って上級生のクラスがある上の階へは上がらないよな」


「あたし、4年生で教室が三階になってはじめて上がったかも」


さすが頭脳担当春音くん!