「そう、だって教えるのはすべてが終わったこれからだからね。これからあみと蓮はタイムリープするんだ」
なんで!?
「それはもちろん。この事件の真相をぼくに伝えるためだよ」
「ええ!? これから事件をどうやって解決したかを、事件が起こる前の春音くんにあたしたちが教えにいくってこと! だから、学校でリコちゃんに手伝ってもらうこととか、犯人が苦手なものとかも、春音くんは解決方法を最初から全部知ってたってこと!」
「実はその通りなんだ」
「そうだったんだ……でも、それなら教えてくれてもよかたんじゃない?」
そうすればもっと簡単に解決できたんじゃない?
「それは出来なかったんだ。あみと蓮はなにも知らないからこその結果だった訳で。もし、教えていたらうまく解決できなくなる可能性があるんだ」
「未来が悪い方に変わっちゃうってこと?」
「場合によってはね──だから、詳細に事件の解決方法を過去のぼくに教えてあげて」
「う、うん」
「行き先は、ことりとぼくが誘拐された日の前日夜」
春音くんが宣言すると、
「わかったなの」
机に乗ったリコちゃんが白く輝きはじめた。
「あ、あの、もう一つ聞きたいんだけど。あたしたちはこれからはじめて事件の解決方法を教えに行くのに、ここにいる春音くんはもう全部を知っているでしょ? なんて言うか、それってなんか変な気が……」
「そうなんだよな。事件は一昨日初めて起きたわけじゃないのか? だったらそもそもの最初はどうなってんだ?」
そう! それよ蓮! 一番最初って、事件が起こってないのに、あたしと蓮が事件の解決方法を春音くんに教えに行くって変じゃない?


