あれ、ふたりとも黙り込んじゃった。あたし変なこと言った?


「それなんだけど、いくつか気になることがあるんだ」


なによ蓮。急に真顔で。


「大悟さんが学校に現れたのって春音が連絡したのか」


ああ、そうか。大悟さんは春音くんとことりちゃんが学校へ連れて行かれたって知らなかったんだもんね。


「念のためね。車で移動している時、靴下に隠してたスマホでこっそりとメールしたんだ。メイドさんは運転に気をとられてたからうまくできたよ」


へえ、そうだったんだ。


「それから、うまく誘導するって言ってたけど、犯人をどうやってリコのいる学校へ行かせたんだ」


「それはね。ことりの家でことりの親を待つつもりだったメイドさんが大悟さんがやってきて焦ってたから、休日の学校ならだれもいないし隠れやすいだろうなってボソっと言ったら簡単に信じたんだ」


「そうなのか……」


春音くんの説明で分かると思うんだけど、蓮は何故かまだ納得いかない様子。
あたしでも分かるのに。


「そんなに簡単にいくもんなのかな」


「なにがよ、蓮」


「だって相手は誘拐のプロだろ。いくら春音が頭が良くても、そんなにうまくいくのかなって」


「だって、うまくいったじゃない」


「なら、ゴムのおもちゃとフランス人形はどう説明するんだ。春音はどうして犯人が虫やお化けが嫌いだってはじめから知ってたんだ」


「そ、それは……なんでだろう?」