「人形は怒ってるわ! メイドさん、子供を誘拐したあなたをあなたを呪い殺すって言ってるわよ!」


「ヒ、ヒイイイイッ! や、やめて。わたし、そういうの……。お化けとか本当にダメなの!」


メイドさんは、床にペタンと尻餅をつくと、ガクガク震え出して謝りはじめた。


「ごめんなさい。ごめんなさい。お願い許して!」


「じゃ、じゃあ、警察に自首しなさい。そうしたら人形は許すって言ってるわ」


「わ、わわ、分かりました。自首します。ですから呪わないでください。お願いします」


本気でお化けが苦手なのか、メイドさんは床にピッタリと頭をつけてお願いしだした。


これならもう安心みたい。


「おーい、ことり。どこだー」


遠くから大悟さんの声が聞こえる。

気絶から目覚めたんだ。


「あみ、蓮。2人は小さな教室へ。後はぼくにまかせて」


笑いが収まった春音くんが、あたしたちの肩をポンと叩く。


「なんとか解決できたってことか」


「作戦成功なの!」


「あたしのおかげよね」


「さすが呪いのプロ!」


「ああ、絶対バカにしてる! 蓮のピーマン脳!」



この後、あたしと蓮は、ことりちゃんたちに見られないようにこっそりと小さな教室に入って元の時間へと戻った。