「じゃあ、俺が堺さん本人に聞いてみようか?」


座っていた琉威が立ち上がる。


本人に…?


「なんて聞くんだよ?」


「なんで泣いてたの?と、昂平と昔会ったことある?って。」


…直球だな…。


まぁ、琉威らしいけど。


「明日くらいに聞いて昂平に報告するよ!」


翌日…


琉威は本当に聞いてきた。


「泣いてたのはあくび、昂平に会ったことは…」


「会ったことは?」


どうなんだ…?


「内緒だってさ!」


な…内緒!?


「…っていうのは冗談。ありますって笑いながら言ってたよ!」


あるのか…。


でもいったいどこで…?


いつ…?


「思い出した?」


堺さんには悪いけど、やっぱり…


思い出せない。


俺は何も言わず、首を横に振った。