彩は、それから2日間さらに休んで、学校に行けたのは、進級から1週間後だった


どうしよう

再来週は、修学旅行なのに……

女の子はもう1人誰になってるのかな……

さすがに、もう決まっているよね……


そう思って教室のドアを開けると何人かの女子が集まってきた


「高槻さんおはよう
 私と一緒に修学旅行いこ!」


「あっ、ずるい〜
 私も高槻さんと一緒がいいのに〜」


私も、私も、私も……とみんなが修学旅行に一緒に行こうと言ってくれている


その状態に驚きながらも少し喜んでいると……
誰かに手を掴まれた


「ねぇ、彩ちゃん〜
 私ね、陽太くんと一緒に遠足行きたいの
 だから〜  」

お・ね・が・い


と上目遣いで彩を見てその子が言った


クラスメートの顔や名前を正直ほとんど覚えていないから、この子が誰かわかんない


だけど、はじめて名前で呼んでもらってすごく嬉しくて、すぐに答えは決まった


「えぇっ!
 それなら、一緒に修学旅行行こ!
 でも、あの、誰だっけ?」


その言葉に教室中がざわめく


「えぇーーー
 あの花園 咲香しらないの!?」


「理事長の孫娘で容姿端麗
 学校にも芸能事務所からスカウトが来る
 ほどの
 超絶美少女なのに!?」

「うん……
 きいたことないかな、その名前」


学校の出席日数かなりギリギリだったから、
去年同じクラスだった子もあまり覚えてないんだよね……


でも、そんな有名なクラスメイトを覚えてないってたぶん、すごく大変かも、私……


そんなことを考えていると双子も教室に入ってきた


「おはよー、彩
 もう元気になった?」

みんなもおはよ。


とキラキラな王子様スマイルを浮かべて先に入ってきたのは陽太


そこに続いてもうひとりも入ってくる


「彩、おはよ
 もう1人、誰か決まったのか」

無駄にうるさい女子がここに集まってたみたいだけど……


と眠そうな声で余計な一言を付け足している風冬

もう
そんなだからモテるのに陽太にしか女子が近寄って来ないんだよ?

ほんと、もったいないよ……


とは思いつつも自分だけが特別なように感じて彩は喜びをかみしめながら答えた


「うん。決めたよ
 えっとね、はなぞのぉ……え、咲香(えこ)ちゃん!」

「ほんと〜?
 ありがとぉ〜」

彩ちゃんだいすき〜


と咲香に飛びつくようにハグされ、彩はよろけて倒れかかったが
咄嗟に双子に支えてもらい、倒れはしなかった


「了解、花園ね
 うるせぇけどそれ以外は無害そうだしいいんじゃね?」

ただし、彩に怪我させたらどうなるのかわかっとけよ?


と了解しながらも過保護で彩以外への冷徹な態度はそのままな風冬


もう
そんなこと女の子相手に絶対に言ったらダメだよ風くん

後でちゃんと叱っとかなきゃ!

そう思っていると陽太が口を開いた


「咲香ちゃんだっけ?
 風冬がごめんな
 風冬、そんなの言っちゃダメでしょ」
 

さすがひーくん!


と思ったのもつかの間……


「まぁ、俺もそれは少し思ってるかな
 彩のこと、すげぇ大事だからさ?
 とりあえず、修学旅行の班はよろしくな」


少し黒いオーラを放ちながら笑みを浮かべる陽太


ほんとに2人とも過保護過ぎる……


多分今、私顔から火が出そうな程真っ赤な顔をしてるよ・・・・・・

だからそれを誤魔化すために話題を変えた



「そ、そういえばさ
 修学旅行ってどこ行くんだっけ?」