競技を終えた二人がこちらへと歩いてくるのが見えた。
「レンくん、コウくん、お疲れ様!すごかったね!
ほとんど、2人の騎馬がハチマキ取っちゃったんじゃない?」
「シズナちゃん、ありがとー。
楽しかったよ~」
金髪くんがニコニコと応対する。
ヤンキーくんはニコリともせず、そっぽを向いている。
「砂埃がすごくてさー身体がベトベトになっちゃった。
ねぇ、あれ持ってない?
女の子がよく持ってる、身体拭くシートみたいなやつ!」
金髪くんは汗をぬぐいながら、私たちに聞いてきた。
「あたしは持ってないんだけど、実桜が持ってる!ねぇ?」
不意に自分に話が振られて、びっくりしてしまった。
「あ、うん。持ってるよ。あげる。」
「実桜ちゃんっていうの?ありがとう!」
私は自分の持っていた小さめのトートバッグから
さらさらになるボディシートを取り出した。
「あ、石鹸の香りだ!俺、この匂い好きなんだよね。」
金髪くんは嬉しそうにシートを受け取り、身体を拭いた。
「好きなだけ、使ってね。
・・・・えーっと、お兄さんもどうぞ・・?」
そっぽを向いていたヤンキーくんにも
シートの入ったケースを差し出した。
「おぉ、わりぃな。」
表情を変えず、シートを受け取ると
「もういいだろ、レン。いくぞ!」
と、その場を去っていった。
