他の生徒たちの話し声が遠ざかってゆく。

たったの1〜2分の事だったのかもしれないけれど、私には永遠に続く時間のように感じた。

「行ったか…。おい、お前。
 この事は誰にも言うんじゃねーぞ。
 めんどくせぇ事になるからよ。
 分かったか?」

鋭い眼光で私を睨む。

「はい…。」

どうでも良いから、早く帰してくれ。。

「行っていーぞ。」

私は、その場から走ってシズナたちがいる所まで戻った。

怖かった…。殺されなくてよかったあ!!

「あ、実桜おかえり〜。ゴミ捨てありがとね。」

「うん…はぁはぁ…疲れた。。」

「どしたの?何かあった?」

シズナが不思議そうに、私の顔を覗き込む。

言いたいけど、言えない。。
次は何されるか分からない・・!

「うん、いや。。大丈夫。」

そう〜?と笑ってくれたシズナに
ちょっとだけ癒された。

「はぁーい。1年3組の人〜。
 校庭掃除、これで終わり!教室に戻って〜。」

担任の先生がみんなにそう呼びかけたので、
教室へと戻ることになった。

「でさ〜。あの時に、、」

『んだと、コラァ?!お前こっちこい!!!』

シズナとお喋りしながら、教室へ戻る途中、
物凄い怒鳴り声が聞こえた。

「え?!なになに?」

シズナが怒鳴り声の元を探す。

「あ、あそこだ!」

人と人の間から見えるのは
背の高い、黒髪を後ろに流した、柄の悪い人。
男子生徒の胸ぐらを掴み、今にも殴りかかりそう。

うわ!さっきのヤンキー!
タバコの次は喧嘩?!
絶対関わりたくない!!

「シズナ‥行こう。。」

私はシズナの手を掴んだ。

「おもしろそーじゃん!見てこーよ!」

人を掻き分けて、ずいずいと進み、
ついに喧嘩をしてる2人の前まで出てしまった。

『もいっぺん行ってみろ、コラ!💢』