「あ、実桜ちゃんだ~
 よろしく~」

レンくんが回ってきた。

「あ、・・レンくん。」

私に回ってきたという事は
シズナも無事にレンくんと踊れたんだろう。

「実桜ちゃんって男が苦手なの?」

唐突にそう聞かれ、
うろたえてしまう。

「え?!いっいや
 そんな事ないよ!」

自分でも顔が引きつっているのが分かる。

男が苦手なのか?
そんな事、考えたこともなかった。

ヤンキーが苦手なのは実感している。
だけど、男が苦手なのか?と聞かれると
考えこんでしまう。

「ははっ 困った顔しないで。
 ごめんね。」

レンくんはニコッと笑って次の人へと回っていった。


「おい、さっさと手ぇだせよ。」

突然、私の真上から低い声が聞こえる。

「わっ!!」

見上げると、そこにはあいつが居た。

帰ってなかったんだ…

「ごっごめんっ」

私の手に触れる、
またゴツゴツとした男の子らしい手。

「帰ってなかったの?てっきり、もう帰ったのかと・・。」

「あぁ。帰ろうとしたんだけどよ。
 担任に見つかって戻された。」

「ふふっ」

「笑ってんじゃねーぞ。」

このデカいヤンキーが
先生に言われて戻ってくる所を想像すると
笑えてくる。