彼女に初めて出会ったのは、入学式の日だった。


校内を迷い込む様に歩き回りながら、辿り着いたのは美術室だった。


指を伸ばし、扉に触れる。

そのまま扉を横に引く。


美術室内に居たのは、一人の少女だった。


ぼくは少女の姿から視線が離せず、眺め続けていた。

それでも、少女の瞳が、こちらに向く事は無かった。