秋山さんは雄飛の今後のために私と別れさせようとした。不倫をしていると思わせるような写真を撮って雄飛に送った。それを雄飛は信じてしまった。

「バカ。雄飛の大バカ!!」

「まひるのいうとおり、本当に俺がバカだった。秋山とまひるが不倫しているかもだなんて思ったら頭に血が上って、冷静な判断がつかなかったんだ」

「嫉妬したってこと?」

 私は雄飛を見上げた。すると彼は私から目をそらす。

「……そうだ、嫉妬した。それくらい俺はお前のことが好きなんだよ。ああもう、これ以上言わせんな」

 みるみる赤くなっていく雄飛の顔。耳まで真っ赤だ。

「やだ。もっと言って」

「は?」

「もっと困らせたい。雄飛のそんな顔、私しか見れないもん」

 会場にいたたくさんのファンの子たちは見られない彼の素の表情。私だけが知っている特別なもの。

「ああそうかよ。だったらもっと特別な顔も見せてやる。覚悟しろ」

 そう言って雄飛は私の顎先を指で引き上げる。

「目、閉じるなよ。俺のこと見ろ、まひる」

 雄飛の顔が近づいてくる。その瞳には雄飛よりも顔を赤く染めた私が映っていた。

「ゆう……んっ」

 唇が重なってすぐ、彼の手は私のスカートをたくし上げた。

「ちょ、雄飛。待って」

「どうして? まさかお預けにするつもり?」

「……だって、こんなところでするのはいやなんだもん」

 きっと廊下にはマネージャーさんがいるはずだ。それだけじゃない。隣の部屋にだって他の出演者やスタッフもいるだろう。

「それに、朝飛が待ってるから」