六畳ほどの部屋にはドレッサーと椅子、応接セットが置かれている。ソファーに座っていた雄飛は私の姿をみるなり立ち上がる。

「雄飛……」 

「まひる。会いに来てくれたんだな」

 ステージ上で見たままの姿の彼は私の目の前に立つと、今にも泣きだしそうな顔でそう言った。泣きたいのはこっちなのに。

「……だって、来るしかないじゃない。連絡も取れないし……朝飛だって心配してるんだよ」

「ごめん。俺がバカだったんだ。許して欲しい」

 雄飛はそう言って私を抱き寄せる。

「いきなりなに、離してよ」

 私は精いっぱいもがいた。けれど逞しいその腕からは抜け出すことは叶わない。

「だめだ。許してくれるまで、離さない」

「許すって何を? 私たちをほったらかしにしたこと?」

「そうだ。本当に悪かったと思ってる」

「理由は? 話してくれないと許さないから」

「分かった。説明する」

 私は雄飛の腕の中で事の経緯を聞かされた。