今夜、雄飛が出演する音楽番組がある。
観覧券はオークションサイトで落札した。違法なのはわかっているでも、彼に会う方法がこれしか見つからなかった。
スタジオに着くと若い女の子たちの行列があった。私はその最後尾に着く。どう見ても年齢は一回りくらい上だけど仕方ない。
席は中央の前から五列目だった。十分近い。スタッフから注意事項の説明があり、しばらく待機したのち番組は始まった。
アイドルグループや大御所アーティストの歌を聴きながら、私は雄飛が登場するのを待ち続けた。
「いよいよ皆さんお待ちかねのイケメンが登場します」
司会者の男性が言うと、会場が騒めいた。
「本日初披露の新曲を歌ってくださるのは、このかたです!」
会場が暗転しステージ中央にスポットライトがあたる。
「ユウヒー!」
隣の女の子が叫んだ。ギターを手に、スタンドマイクの前に立つ雄飛は白いタキシードを着ていた。
まるで花婿のようなその姿に私の目はくぎ付けになった。そして、ここに来た理由すら忘れてしまうほど胸の高鳴りを感じた。
彼は酷い男かもしれない無責任な父親かもしれないそれでも私はユウヒのファンだ。
バカみたい。でも、好き。
「ユウヒ!!」
私は精一杯叫んだ。すると雄飛はこっちを見て、「まひる」そう彼の唇が動いた気がした。
「それでは歌っていただきましょう。ユウヒさんで“Marry me”」
バックバンドがイントロを奏ではじめ、会場が一瞬にして静まった。誰もが雄飛に注目し、その歌を心待ちにしていた。
でも雄飛は一向に歌い始める気配はない。なにかの演出?それともトラブル?
次の瞬間、誰かがステージに駆け寄った。フードをかぶった男性だった。
すると途端に歓声が悲鳴に変わる。
その男は雄飛に向かって叫ぶ。
「ユウヒさん、どうしちゃったんですか! どうして歌わないんですか? 俺がせっかく自由の身にしてあげたのに。これからもっと人気が出る人なんですよ、あなたは。それなのにどうして……どうして!」
スタッフの動きがあわただしくなった。
「コマーシャル入れろ」そう誰の指示が飛ぶ。
すぐに警備委にが駆けつけて、男性は取り押さえられる。
会場の外へ引きずられていくその人の顔をみて、私は自分の目を疑った。
「どうして彼がこんなところにいるの?」
観覧券はオークションサイトで落札した。違法なのはわかっているでも、彼に会う方法がこれしか見つからなかった。
スタジオに着くと若い女の子たちの行列があった。私はその最後尾に着く。どう見ても年齢は一回りくらい上だけど仕方ない。
席は中央の前から五列目だった。十分近い。スタッフから注意事項の説明があり、しばらく待機したのち番組は始まった。
アイドルグループや大御所アーティストの歌を聴きながら、私は雄飛が登場するのを待ち続けた。
「いよいよ皆さんお待ちかねのイケメンが登場します」
司会者の男性が言うと、会場が騒めいた。
「本日初披露の新曲を歌ってくださるのは、このかたです!」
会場が暗転しステージ中央にスポットライトがあたる。
「ユウヒー!」
隣の女の子が叫んだ。ギターを手に、スタンドマイクの前に立つ雄飛は白いタキシードを着ていた。
まるで花婿のようなその姿に私の目はくぎ付けになった。そして、ここに来た理由すら忘れてしまうほど胸の高鳴りを感じた。
彼は酷い男かもしれない無責任な父親かもしれないそれでも私はユウヒのファンだ。
バカみたい。でも、好き。
「ユウヒ!!」
私は精一杯叫んだ。すると雄飛はこっちを見て、「まひる」そう彼の唇が動いた気がした。
「それでは歌っていただきましょう。ユウヒさんで“Marry me”」
バックバンドがイントロを奏ではじめ、会場が一瞬にして静まった。誰もが雄飛に注目し、その歌を心待ちにしていた。
でも雄飛は一向に歌い始める気配はない。なにかの演出?それともトラブル?
次の瞬間、誰かがステージに駆け寄った。フードをかぶった男性だった。
すると途端に歓声が悲鳴に変わる。
その男は雄飛に向かって叫ぶ。
「ユウヒさん、どうしちゃったんですか! どうして歌わないんですか? 俺がせっかく自由の身にしてあげたのに。これからもっと人気が出る人なんですよ、あなたは。それなのにどうして……どうして!」
スタッフの動きがあわただしくなった。
「コマーシャル入れろ」そう誰の指示が飛ぶ。
すぐに警備委にが駆けつけて、男性は取り押さえられる。
会場の外へ引きずられていくその人の顔をみて、私は自分の目を疑った。
「どうして彼がこんなところにいるの?」



