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「ユウヒさん、帰りの飛行機なんですが最終便に間に合いそうです」
「……それなんだけど、俺こっちにもう一泊していこうかな」
地方でのながい撮影が終わった。これでようやく東京に帰れる。けれど俺は気が重かった。まひるは俺の事なんて待っていないってわかったからだ。
三日ほど前、秋山が事務所を辞めた。海外留学すると聞かされたけれど、拭いきれない違和感があった。
そしてついさっき三田社長から送られてきたメールですべてがつながった。
添付されていたフォルダーを開くと数枚の写真があった。
うちのマンションの前で抱き合う男女。よく見るとそれはまひると秋山だった。
仲良く買い物をする二人と、そしてもう一枚。布団で眠っているまひると一緒に映っている秋山の自撮り写真。
俺は愕然とした。
でもなんとなく予感はあった。そうあのカレーだ。温めなおして食べようとキッチンへ行った時、大人用の皿とスプーンが二つあったから。
食べたのは秋山かもしれないと疑っていたが、完全に黒だろう。
あいつは俺の留守中にまひるに手を出していた。まひるもまひるだ。俺のことを好きだといいつつ、そばにいる男に平気でなびく女だったなんて。
もしかしたら朝飛も俺の子供じゃないかもしれない。
そう考えて全身がゾワリと粟立った。


