推しの子を産んだらドラマのヒロインみたいに溺愛されています(…が前途多難です)

「まひるさん。食後になにを飲みます?」

「ウーロン茶でおねがいします」

「……あらら、結構酔いが回っちゃいましたか?」

 秋山さんはすぐにウーロン茶を注文してくれた。

「秋山さんて、飲ませるのが上手だよね」

 サービス精神が旺盛というか遠慮する隙を与えないというか。

「そうですか? まあ、飲みの場にはよく行くし上手くもなりますよね。大御所のタレントさんとかにどれだけ気持ちよく飲んでもらうか、とか研究しましたもん」

「へえ、それは大変そう……」

 酔ったせいか突然眠気が襲ってくる。

「まひるさん? 少し横になったらどうですか? 布団を敷いてもらえるか聞いてみます」

「大丈夫だよ」

 秋山さんがいるのに眠るわけにはいかない。自意識過剰と思われても構わない。

「全く大丈夫そうには見えませんけど? 帰る前に酔いを醒まさないといけませんし……まひるさんが休んでいる間俺は大浴場に行ってます。それなら安心でしょ?」

部屋に一人ってこと?それなら……。

「じゃあ、休もうかな」

「ええ、そうしましょう」

 秋山さんがフロントへ電話をかけると中居さんが来て布団を敷いてくれた。

「まひるさんお水、近くに置いておきますね。そしたら俺はしばらく部屋を出ますんで、なにかあったらスマホに連絡くださいね」

「うん、わかった。ありがとう、秋山さん」

 静かになった部屋の中で、私はすぐに寝てしまった。

こんな風に酔うなんて初めてだ。もしかしたらすごく疲れていたのかもしれない……。