マンションに戻ると早速調理を始める。

「俺、米研ぎますね」

「ありがとう。お願いします」

 完治したとはいえ、久しぶりに自由になった右手はどことなくおぼつかない。

人参ってこんなに堅かっただろうか。そんなことを思いながら下準備を終えた。炒めた野菜を圧力なべに放り込みサラダを作る。

「やっぱカレーって時間かかりますよね」

 申し訳なさそうに秋山さんが言う。

「でももうすぐできるし、朝飛も大好きだから。サラダ運んでもらえます?」

 確かに煮込み料理は時間がかかるが圧力なべがあれば割と時短にできる。

それから出来上がったカレーを三人で食べた。

「マジ旨いっす」

 秋山さんはそう言って三杯もお代わりしてくれる。釣られたように朝飛もいつもよりたくさん食べた。そして食べている途中に寝てしまった。昼寝の時間と被ってしまったからだろう。

「ありゃ。朝飛スプーン持ったまま寝ちゃいましたね」

 秋山さんは朝飛の手からスプーンを抜き取って、お皿をよけてくれた。

「ありがとう。ベッドに寝かせてくるね」

 口と手を拭いて、寝室のベッドの真ん中に朝飛を下ろすとお昼寝用の毛布を掛けた。満足そうに眠っている。わが子ながら寝顔は天使だと思う。

「ふふ、かわいい」

 いつもなら一緒に寝てしまうが今日は秋山さんがいる。

私はリビングへ戻り、朝飛のお皿を片付けた。