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まひるの声はとても明るかった。
昨日までの彼女とは違っていた。
だから俺は家のことを秋山に任せて仕事の集中することができた。
歌い手としての道が開ければ、これからの仕事の幅も広がる。そうなれば不安なく家族を養っていける――そう信じて疑わなかった。
「おかえりなさい、志津香さん」
「ただいま、ユウヒ」
打ち合わせのために訪れた事務所で、昨日の深夜便で帰国していた志津香さんと鉢合わせた。
「私の不在中、変わったことはなかった?」
「はい。なにも」
「……そう。レコーディングも順調そうね。この調子で頑張るのよ」
にこり、と微笑む志津香さんの言葉に含みがないことを感じて俺はホッと胸をなでおろす。
まひると朝飛のことはばれてなさそうだ。このまま知られずに入籍してしまいたい。けれど、俺が弁護士と面会する時間が取れにばかりに手続きが進まない。
まひるの声はとても明るかった。
昨日までの彼女とは違っていた。
だから俺は家のことを秋山に任せて仕事の集中することができた。
歌い手としての道が開ければ、これからの仕事の幅も広がる。そうなれば不安なく家族を養っていける――そう信じて疑わなかった。
「おかえりなさい、志津香さん」
「ただいま、ユウヒ」
打ち合わせのために訪れた事務所で、昨日の深夜便で帰国していた志津香さんと鉢合わせた。
「私の不在中、変わったことはなかった?」
「はい。なにも」
「……そう。レコーディングも順調そうね。この調子で頑張るのよ」
にこり、と微笑む志津香さんの言葉に含みがないことを感じて俺はホッと胸をなでおろす。
まひると朝飛のことはばれてなさそうだ。このまま知られずに入籍してしまいたい。けれど、俺が弁護士と面会する時間が取れにばかりに手続きが進まない。



