「ごめんね。本当はずっと前から思ってたんだけど、言えなかった」

『そっか。こっちこそごめんな。本音で話せる環境じゃなかったもんな。俺の責任だよ』

「そんなことないよ。今日ね、雄飛の映画やドラマを観たの。雄飛素敵だった。プロポーズの時に結婚しても人気は落ちないって言ってたじゃない。確かにそうなんだなって、」

『おいおい。ようやくわかったのかよ。これからはイクメンパパで売るってこともできるんだぞ。最高だろ』

「うん、最高」

 ベビー用品のコマシャールに出る雄飛を想像して、なかなか悪くないかもだなんて思ってしまった。

『……ああ、まひるに会いたいよ』

「早く帰ってきて!」

『わるい。無理なんだ。しばらくは帰れない』

「どうして?」

『今さ、曲作ってんの。映画の役に合わせて歌手デビューするんだ。レコーディングが終わるまではスタジオから仕事に通わないといけない』

 せっかく朝飛も雄飛のことをパパだと認識できたのに、これから会えない日が続いてしまう。私だって寂しい。でも……。

「すごいじゃん。雄飛の歌、楽しみにしてるね。体に気を付けて頑張って!」

 私は彼の妻である前にユウヒの一番のファンだ。だから彼の進化を応援しない手はない。

『ありがとうまひる。俺頑張るから朝飛の事、よろしくな』

「わかった。まかせておいて」