陽気な音楽とともに番組は始まった。
ベテラン司会者とゲストたちのトークで人気の番組のようだ。
ひな壇の一番前に座った雄飛が写し出されると、朝飛は興奮気味に立ち上がった。
「パパだ! みて、ママ。パパが映ってるよ」
「そうだね」
画面越しに見ても雄飛のカッコよさは変わらない。普段着とはかけ離れた奇抜な衣装でさえ様になるからすごい。
他の出演者が軽快なトークを繰り広げる中で、雄飛はあまり口を開かない。さっきから同じ女性芸人ばかりが写し出されていた。
普段はよく話す方だけど、芸能人のユウヒはクールな設定なのかもしれない。
番組も中盤に差し掛かり、司会者は雄飛に向かってこういった。
「ユウヒくんは最近凝っていることがあるんですってね?」
「ええ。朝起きたら朝飛の顔をみることが日課です」
カメラ目線のままにっこりと微笑む。その瞬間心臓が止まるかと思った。
朝飛は自分の名前が呼ばれて喜んでいるが司会者は困惑しているようだった。
「顔? あ、ああ。まあ朝日を浴びると体内時計がリセットされるって言いますもんね」
「今日も一日頑張ろうって思えるんですよ」
「なるほど~イケメンはやることが粋ですね。ハハハハハ」
そのままコマーシャルに突入し、コマーシャルが明けると別の話題になっていたけれどそれから番組が終わるまで、雄飛が映るたびに次は何を言い出すのだろうかと気が気ではなかった。



