深夜零時過ぎ。収録が終わった雄飛が帰ってきた。

「朝飛は? もう寝てるか」

 いいながら寝室を覗く。

「うん。ギャオレンジャーのロボット抱きしめて寝てるよ。よっぽど楽しかったみたいで、秋山さんに雄飛からもお礼言っていてね」

「ああ。さっきスタジオであったからお礼言っておいたよ」

「そっか……」

 あの後、秋山さんから電話が入り記者のことは雄飛には話さない方がいいと言われた。私もそれには同意見だった。

雄飛に余計な心配はかけたくないし、秋山さんと抱き合ったなんて知られるのは嫌だったから。

「それでまひるは? 病院どうだったの?」

「ギブスはあとひと月くらいはつけていなくちゃけないって。だからまだ病院へ行かないといけないんだ」

「そっか。ひと月は長いな。早く取れるといいな。不便だろ、これ」

「……そう、だね」

 確かにギプスは不便だ。でもこれがあるから雄飛に甘えていられるのも事実。

「治ったら仕事もできるね」

「そうだな。仕事ができる。それはいいことだ」

「うん。閉めてきたお店のこと考えると、早く再開しなくちゃって思うの。待ってくれてるお客さんもいるし。それなのに雄飛と離れるのは嫌なの……」

 離れるのは嫌。でも一緒にいても迷惑がかかるかもしれない。今日そんな現実に直面して、これから自分がどうしていいのかわからなくなってしまった。

「……なるほど、確かにそうだ」

「どうして冷静でいられるの? 私は雄飛とお店、どちらも大切で手放せない。そんな欲張りな自分が嫌いで仕方ないのに……」

 いいながら泣いてしまった。情けないと思うけれど、雄飛といるとどうしようもなく弱い私が出てしまう。

「まひる、座って。落ち着いて話そう」

 雄飛に手を引かれてソファーに腰を下ろした。

「何かのむか? ホットワインとか」

「……なにもいらない。側にいて」

「側にいるよ。だって俺たちは家族なんだから」

 私は彼の腕にしがみつくようにして、引き寄せる。雄飛は私の隣に座って、ぎゅっと抱きしめてくれる。