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 きっといい部屋に住んでいるんだろうとは思っていたけれど、想像をはるかに超えていた。
大きな窓がある広いリビングは私の店よりも広いかもしれない。

畳一畳分くらいの大きなテレビにベッドのようなソファー。使いやすそうなアイランドキッチンにガラスの天板が乗ったダイニングテーブル。

「この奥が寝室だよ。見る?」

「うん」

 雄飛に案内されて今度は寝室を見せてもらう。床は絨毯敷きで温かそう。

キングサイズのベッドはホテルの様にベッドメイクされていた。

「きれいにしてるんだね」

「週に三回ハウスキーピングを頼んでいるんだ。さすがに家事までは手が回らなくてさ」

「そうだよね」

 家にだってなかなか帰れないだろうし、空いた時間を家事に費やすことなんてできないと思う。

「こっちは?」

「クローゼット。中はバスルームと玄関につながってて、便利なんだ」

 中を見せてもらうと、思ったほどものも少なくすっきりと整えられている。雄飛は昔から服を無駄に買わない人だった。質のいいものを長く着るそんな風にして節約していた。どんないい部屋に住んでも根本は変わらないのかもしれない。

「今日からはまひるが好きなように使っていいからな」

「ありがとう。雄飛」

 色々と気遣ってくれる雄飛の気持ちがうれしくて、近づいてキスをしようと思った。その時、雄飛の腕の中で眠っていた朝飛がぱっちりと目を開けた。