「……ああもう。ユウヒさんには敵いませんよ」

「よろしくな。まひるも、何かあったら秋山を頼れ。俺の付き人兼マネージャーでこの業界の中で、俺が一番信頼している奴だから」

 そういうと、不安げに俺たちの話を聞いていたまひるは安心した様子でうなずいた。

「私、小森まひるです。よろしくお願いしますね、秋山さん」

「え、あ、はい。よろしくお願いします秋山です。……ていうか、ユウヒさん。俺の事信頼してるってマジすか」

「マジマジ」

「いやったー!」

 秋山はめちゃくちゃ喜んでいる。

俺はこういう単純、もとい。素直なところが好きなんだ。

芸能界でもやっているけるだけの容姿を持ちながら、あくまでも裏方でやっていきたいという信念があってブレない。さらには賢くて口が堅い。志津香さんが不在中、俺の担当を任せてたということは、それだけ信頼されているという証明でもある。

「秋山さんて、おいくつなんですか?」

 まひるが聞く。

「俺すか? 二十四です。学生時代はアメフトやってました!」

「そうなんですか。だから筋肉がすごいんですね。今も鍛えてるんですか?」

「はい。週五でジム行ってます」

 なんだか楽しげな二人をみて複雑な感情を抱くが、仲良くやってくれそうでよかったと思う。

エレベータが到着し、荷物を運び入れると秋山は「十三時に迎えに来ます」と言って帰っていった。