「それで? 二人はどうなったの?」

「その人は白根さんに志津香さんとのやり取りを洗いざらいぶちまけて……すべてを知った彼女は引退する覚悟で交際を認めてもらうように交渉した。でも、話し合いが終わる前に二人は別れてしまった」

 理由はわからない。と雄飛は言った。

あの三田さんと戦おうとしたのだからよほど貫きたい愛だったに違いない。

「……黙っててごめんね」

「やっぱりそうだったか。じゃあ、答えは簡単だ。志津香さんは俺がどうにかする。だから結婚しよ」

「本当にそんなことしていいの? ファンが減っちゃうよ」

 イケメン俳優と騒がれている雄飛が結婚したら悲しむファンは多いだろう。

「確かに結婚して子供がいると分かれば離れていくファンもいる。けど真剣に演技をやってきた俺を認めてくれた人たちは離れていくことはないはずなんだ」

雄飛の言うとおりだ。駆け出しのころとは違って、実績を積んで俳優としての信頼を得ている。

「この四年間で俺も成長したんだぜ」

 自信たっぷりに言うその顔をみて、私は安心することができた。