「おはよう、まひるいる?」

 塩の香り共に顔を出したのは、漁師のコウ君だ。海の男らしく逞しい腕と、日に焼けた肌が印象的な好青年。

「おはよう、コウくん」

 私が厨房から顔を出すと、コウ君は店の中へと入ってくる。

「これ今日の分な」

 コウ君は発砲スチロールの箱をカウンターに置いた。

店で使う魚はすべて彼から購入している。

以前は市場まで買い出しに行っていたのだけれど、たまたま私を見かけたコウ君のお母さんが『あんた、そんな小さな赤ん坊連れて自電車できたの?』と心配してくれて、コウ君を呼びつけてくるまで送るように言いつけたのだ。