2.嘘を吐くのが下手だよね
その日は朝から雨だった。春の嵐が海を荒らし、コウ君の乗る船は漁に出ることができなかった。魚の仕入れがなくても、冷凍庫のストックで店は開けられる。けれど……。
「ねえ朝飛、今日は保育園お休みしようか」
朝飛のパジャマを脱がせながら私は呟くように言った。
「保育園お休みするの?」
不思議そうに首をかしげながら私の顔を覗き込んでくる。
「そうだよ」
「お店は?」
「お店もお休み。今日はママと遊ぼう」
「うん! 僕、ママと遊びたい」
ピョンピョンと飛び跳ねて喜ぶ朝飛を抱き上げると、早速園に電話をかけた。
店の扉に臨時休業の紙を貼り、朝飛と一緒に朝ご飯を食べる。
「このお魚はね、鮭っていうのよ」
「知ってるよ」
当たり前とでもいう顔で朝飛は言った。
「朝飛は物知りだね」
いつの間にか箸が使えるようになっているのに気付いてふと申し訳ない気持ちになる。
教えてくれたのは保育士さんたちだ。私は何もやっていない。
オムツだってもうしていないし、ボタンも上手に留められるようになっていた。
ごめんね。……じゃなくて、ありがとう。ちゃんと育ってくれてありがとう。
その日は朝から雨だった。春の嵐が海を荒らし、コウ君の乗る船は漁に出ることができなかった。魚の仕入れがなくても、冷凍庫のストックで店は開けられる。けれど……。
「ねえ朝飛、今日は保育園お休みしようか」
朝飛のパジャマを脱がせながら私は呟くように言った。
「保育園お休みするの?」
不思議そうに首をかしげながら私の顔を覗き込んでくる。
「そうだよ」
「お店は?」
「お店もお休み。今日はママと遊ぼう」
「うん! 僕、ママと遊びたい」
ピョンピョンと飛び跳ねて喜ぶ朝飛を抱き上げると、早速園に電話をかけた。
店の扉に臨時休業の紙を貼り、朝飛と一緒に朝ご飯を食べる。
「このお魚はね、鮭っていうのよ」
「知ってるよ」
当たり前とでもいう顔で朝飛は言った。
「朝飛は物知りだね」
いつの間にか箸が使えるようになっているのに気付いてふと申し訳ない気持ちになる。
教えてくれたのは保育士さんたちだ。私は何もやっていない。
オムツだってもうしていないし、ボタンも上手に留められるようになっていた。
ごめんね。……じゃなくて、ありがとう。ちゃんと育ってくれてありがとう。



