一階のエントラスに出ると直ぐ、黒塗りのセダンが止まっていた。

後部座席のドアを運転手の田中さん(推定60歳位の老人)が開けて待っている。


「田中さん、お早う。悪いね、また母さんが…」


「とんでもございません。また、健二君の運転手をさせてもらえるのは光栄さ。あ、今は社長代理だった!(笑)」

明らかに意地悪な笑みをする田中さん。


「ははっ、田中さん変わってないね!(笑)」



─────
────────

ココで会社の説明をしよう。

母さんは、此処等辺では有名な事業家。

この街の商店街の裏を入ると夜はネオン街。


ラブホや、ホストクラブ、キャバクラ。スナックに、料亭等が列ねている。


殆んどの店が母さんがオーナーで営業している。