「出来ました」

完成したお粥を少しだけ茶碗に装い、奏多さんの元へ運ぶ。

「ありがとう」

ゆっくりと起き上がる奏多さんに私は『食べれそうですか?』と尋ねた。

「そうやな。桜さんが食べさせてくれるなら全部食べれるわ」

「えっ!?た、食べ……?」

動揺する私の反応を面白がっているのか、奏多さんはニッと笑みを浮かべ見てくる。

えっと……食べさせるって、私が奏多さんにあーんって食べさせるって事?恥ずかしすぎるけど、看病ってそんな感じでするものかな。

家族以外の人への看病経験のない私は、真に受けて恥ずかしいけどスプーンでお粥をすくいフゥフゥする。

「あっあの、どうぞ」

奏多さんは差し出されたスプーンに乗ったお粥をパクッと口にした。

「軽い冗談のつもりやったけど言うてみるもんやな。お粥、めっちゃ美味しい」

「冗談だったんですか?私、真に受けてしまってごめんなさい」

「素直なところが桜さんの良いところやろ?ほんま可愛すぎるわ」

奏多さんはベッドの上から私の頭に手を乗せニコッと笑顔を見せる。私は照れてしまった自分の顔を見られないようにするため俯いた。

「お粥ちょうだい。冷めないうちに食べるわ」

私からお粥の入った茶碗を受け取り、奏多さんはお粥を全部食べて薬を飲んだ。