「何となく奏多さんには言った方がいいかと思いましてね」

「そうですか……じゃあ桜さん、悩んでるようならいつでも話を聞きますよ、今までみたいに」

私を見て話しかけてきた奏多さんの表情は笑っているけど、どこか営業的な感じだ。そのままクルッと背を向け奏多さんはまた歩き出した。

「蒼志、何で奏多さんに言うのよ」

奏多さんが居なくなった後、私は蒼志に問いかける。

「奏多さんがどんな反応するかな〜と思ってさ。まぁそれはさておき、撮影行くぞ」

仕事中だからこれ以上は何も言わなかったけど、奏多さんの事がずっと頭から離れなかった。

「ねぇ蒼志、この前の告白の返事なんだけど」

車で移動中、運転している蒼志に話しかける。

「結論出すのはまだ早いって。もう少しじっくり考えてみろよ」

そう言われると私は何も言えなくなった。蒼志には私が今言おうとした返事が分かったのかしら。とりあえず分かった、と言ってこの話を終わりにした。

この日の夜、私は勇気を出して奏多さんの携帯に電話をかけたけど出てもらえず、その後も折り返し電話がくる事はなかった。