「カッコいい」

奏多さんの袴姿に見惚れてしまい、無意識に言葉を呟いてしまった。

「いや、そんな言われると照れてまうわ」

奏多さんは恥ずかしそうに私を見る。私も無意識に呟いてしまった言葉に驚いてしまい、慌ててパッと両手を口に当てた。

「桜さんも綺麗やな」

奏多さんは優しい表情で私を見つめてくる。

「あの、着物選んでくださってありがとうございます」

私は恥ずかしさで頬が赤くなっているのがバレないように俯き加減で話をする。

「桜さんはどんな色でも似合うってずっと思ってたし、やっぱり蒼志君より先に着物選びたかったわ」

そう言いながら奏多さんは私を抱きしめる。嬉しくて私も奏多さんを抱きしめようとそっと背中に手を伸ばした時、部屋の外から奏多さんの母親の声が聞こえてきた。

「奏多、準備できたん?」

その声に奏多さんは私を抱きしめていた手を離し『準備出来た』と障子越しに返事をする。

「入るで」

障子が開くと、そこには奏多さんの母親とその隣にもう一人若い女性が一緒にいた。白を基調とした着物を着ていて、見た感じ私よりも年下かな?