「あっ、安心しろよ。今はちゃんと吹っ切ってるし、桜に対してもう恋愛感情は持ってないから」

蒼志は笑いながら言うけれど、私は笑えないよ。だって私の気持ちはまだ…

「……何で、何で今そんな事言うのよ」

「だから昔話だって」

「蒼志にとって昔話でも、私は今も好きなのよ……蒼志の事が!!」

「はぁ?お前が……俺を?嘘だろ?」

一人だけスッキリしている蒼志に腹が立って、私は怒りに任せ勢いよく告白してしまった。

蒼志は私の告白に言葉を失っているみたいだ。少し沈黙が続く。その沈黙の中、まるで私を慰めてくれてるようにそよ風が頬を撫でた。

「自分でも信じられないけど、好きになったものはしょうがないじゃない」

「いや、マジかよ」

蒼志は座ったまま頭を抱えて、思いっきりはぁっと息を吐き出した。こっちだって頭抱えたいわよ。私はお茶をグィっと飲んだ。

「俺はお前と付き合えねぇからな」

「分かってる」

「ったく、何でこのタイミングで告るかな〜。いや、このタイミングだから良かったのか。学生時代に告られてたら、家業の事なんて放棄して付き合っただろうからな」

さっきまで下を向いてたのに、蒼志は急に私を見てニヤッとする。その表情を見て私の表情も柔らかくなった。

蒼志の気持ちが私にも分かったからだ。