茶屋の外に赤い布で覆われた竹のベンチがあり、そこに座って茶とみたらし団子を頂いた。

「美味しそう」

「あっちょい待て」

蒼志は私の前に来てカメラを向ける。そして桜の木を背景に座っている私をパシャっと写した。

「よしOK」

撮影が終わると、今度は私の隣に座ってカメラを見ながら写真を確認し始める。

「撮影は終わり?」

「あぁ、カメラマンの腕が良いから良い写真が撮れた」

そう言って写した写真を私に見せてきた。空を舞う桜の花びらを眺めている写真に、さっき座って撮った写真……どれも少しだけ微笑むように写っている。

うわぁ私、蒼志の前でこんな表情してたのか。自分の写真を見ながら恥ずかしくなった。

「この写真、高校時代の同級生に見せたら高く買い取ってくれそうだな」

「私の写真なんて買うわけないじゃない」

カメラで写真を見ながら蒼志はニヤッとするが、私は冷めた表情で蒼志に言った。

「気づいてなかったかもしれないけど、桜は高校時代めっちゃモテてだぞ」

「まさか。全然そんな気配なかったけど?」

「そりゃそうだろ。だって桜は同級生の間では高嶺の花だったみたいだし、おまけに俺と付き合ってる事になってたんだから」

蒼志の言葉にん?っとなる。高嶺の花……は置いておき、付き合ってるって誰と誰が?