「…ごめんなさい…」
やっと落ち着いたコンスタンスは、リアからそっと離れ、彼女の顔を見上げた。

「あたま、いたかったの。知らないおじさまが入ってくるから、私、びっくりしちゃって」

「…おじさま…?」
コテンと首を傾げ、丸い目で見上げてくるコンスタンスに、リアは息を飲んだ。

「あのおじさま誰?どうして私の名前を知っているの?それに…、ここはどこなの?」

立て続けに質問しながらキョロキョロと周りを見回すコンスタンスに、リアは目を見張る。
漸く彼女は、主人の泣き声以外の違和感に思いが至った。

目覚めた時から、コンスタンスはまるで少女…というより幼女のような仕草を見せる。
突然起き上がろうとしたり、落ち着きなくキョロキョロと見回したり。

そして、こんな子供じみた話し方をする人でもない。

「奥様…、私のことがわかりますか?」
リアは恐る恐るたずねてみた。

コンスタンスはコクリと頷くと、
「リアなんでしょ?」
と答える。

しかしホッと胸をなでおろしたリアに、彼女は幼女のように唇を尖らせた。
「でもリアならどうして私をお母様みたいに呼ぶの?」
「お母様みたいに?」
「奥様って何?すっごく変だわ」
「だってそれは奥様が…」