それから僅か半月後に正式に婚約が整い、その3ヶ月後には結婚式を挙げた。
婚約も結婚も、王太子と隣国の王女のそれよりも先に、という王家の意向で急がれたのだ。
コンスタンスを気遣う気持ちもあったのだろうが、隣国の王女の憂いをなくす配慮が一番にあったのだろうと思われる。

短い婚約期間中に何度か彼女と顔を合わせる機会はあったが、話す内容は主に結婚式に向けての段取りや、結婚した後の生活についてだった。
そこに、婚約者同士の甘い関係など、微塵もなかった。
ただ淡々と、事務連絡のようなものでしかなかったのだ。

結婚式は王家も使う立派な教会で盛大に挙げられた。
真っ白いウェディングドレスに身を包んだ彼女は本当に妖精のように美しかった。
皮肉にも、そのドレスは王太子との結婚式のために用意されたものであったが。

俺たちは手と手を取り合って、神の前で永遠の愛を誓った。

そうして俺は、この国最高の貴婦人を妻として迎えたのである。