オレリアンの次の非番の日、コンスタンスは大きなバスケットと共に彼を待っていた。
その格好はあきらかに軽装で、膝丈のワンピースに帽子を被っている。
なんだか『7歳の時のコニー』を見ているようで、オレリアンは目を細めた。

「今日はサンドイッチを用意しましたの。ご一緒にランチはいかがですか?」
ガゼボの下で、コンスタンスはバスケットを開けた。
その中身は色とりどりのサンドイッチと飲み物だった。

「用意したって…、貴女が作られたのですか?」
「ええ。リアにも手伝ってもらいましたけど。まぁ…、サンドイッチなんて料理のうちには入りませんわ」
「え?普段から料理をされるのですか?」
「趣味の一つですわ。以前は時間があるとよく厨房に入り浸っておりましたの。お嫌じゃなければ、次はもっと手の込んだものを披露いたしますわ」

恥ずかしそうにはにかんだ笑顔を見せるコンスタンスに、オレリアンは目を見張る。
公爵令嬢が、しかもお妃教育を受けていたような生粋の貴族のお嬢様であるコンスタンスが料理をすることに驚いたのである。

しかもこんな趣味があるなんて、1年以上夫婦であったのに知らなかった。
もしかしたら、オレリアンと別居し、ヒース領で過ごした1年の間にも、自ら料理をしたりしていたのかもしれない。
今となってはなんとももったいない1年間だったと思う。