「何故?どうして15歳なんだ?」
エリアスからその事実を聞いた時、オレリアンはがっくりと膝をつき、頭を抱えた。

コンスタンスが15歳の頃といえば、公式の場にフィリップ殿下と2人揃って出ることが多くなってきた頃だ。
オレリアンが騎士として王宮の警護にあたるようになった時期とも重なる。
だからコンスタンスは、時々見かける騎士くらいの認識で、オレリアンの顔を見知っていたのだろう。

片や王太子の婚約者の公爵令嬢として。
そして片や王族に仕える近衛騎士の1人として。

あの頃の王太子と婚約者は、オレリアンから見ても仲睦まじく、お互いを想いあっているように見えた。
王太子に寄り添って微笑む彼女を何度目にしたことか。

「…コニーの中に、もう私はいないんですね?」
オレリアンが自嘲気味にそう言うと、エリアスは気まずそうに目を伏せた。

「コニーには、父から説明するそうだ。だが、今日はまだ…」
「ええ、わかっています。今日はもう自邸の方に帰ります。私を見たら、コニーは混乱するでしょうから」
「すまない、オレリアン」
エリアスは本当に申し訳なさそうにオレリアンに頭を下げた。

正直、ルーデル公爵家でもこの先どうしたらいいのか途方に暮れている状態だった。
コンスタンスにいつ、どのタイミングで事実を伝えればいいのかと。