カレンの実家はダドリー男爵家といい、現当主は彼女の兄だった。
俺はカレンがヒース侯爵家の金を使い込んでいること、俺宛の手紙類を盗んでいたこと、数え上げればきりがないそれらの悪事を突きつけ、ダドリー男爵に絶縁状にサインさせた。
その上で義父であるルーデル公爵と、公爵を通じてフィリップ王太子にサインを頼んだ。

コンスタンスを手に入れるためなら、コンスタンスの未来に影を作る存在を排除出来るなら、彼女のかつての婚約者を利用することさえ、厭わないと思った。
そして、王太子と公爵のサイン入りの絶縁状を突きつけ、ダドリー男爵にカレンの引き取りを命じた。
おそらくカレンは、二度とダドリー男爵領の邸から出られる日は来ないだろう。

また、セリーヌの実家と、夫であるノントン子爵にも抗議文を送った。
しっかり、セリーヌを監督しろと。
慰謝料を請求しないかわりに、二度と俺たち夫婦の前に姿を現さないよう、子爵家に縛り付けておくようにと。

やっと憂いのなくなった俺は、なんとかルーデル公爵の許可を得て、コンスタンスを迎えに行った。
そして、可愛い7歳の妻を伴い、ヒース侯爵領へ向かったのである。