「っ…な、んでっ」 「詩音くん、ごめんね?もっと一緒に××」 声にノイズのようなものが走り、直感的に彼女を抱きしめようとして伸ばした手はバカみたいに空を切った。 勢いで前につんのめって次に顔を上げた時にはもう、彼女は最初からそこにいなかったかのように跡形もなく、消え失せていた。 どうして.... もう一度、笑いあえると。 もう一度、あの声で自分の名前を呼んでくれると。 もう一度、触れられると。 そう、思ったのに…