「ええ。商会は、魔晶石を買い付ける資金を集めるために、お金持ちを見つけては投資を迫っていました。名家の若君が破産しそうなほどつぎ込んで、婚約者にまでお金をせびっていた例も確認しておりますわ。ひょっとしたら、この中にも『魔法が解禁される』という甘言に騙されて、投資してしまった方がいるかもしれませんわね?」

 マリアが問いかけると、列席した貴族のあちらこちらに、明後日の方向を向いたり、うつむいたりする人々がいた。宰相もやってしまったらしく、自分は関係ありませんと言わんばかりに口笛を吹いている。

 玉座からは、投資話にのってしまった人々の焦りが良く見えたはずだ。これなら特別な説明はいらないだろう。
 マリアは扇を閉じて、アルフレッドにひっついているプリシラに目を向けた。