凜とした顔つきを見せられたレイノルドは、喉をごくりと鳴らした。

「兄貴のために、スート商会の悪事を暴くつもりか?」
「アルフレッド様のため? まさか!」

 マリアは高らかに笑い出した。笑いすぎて、レイノルドが心配するほどに笑った。

「大丈夫か」
「ええ、もちろん。でも、これだけは覚えておいてくださいませ。わたくしは、わたくしが幸せになるために行動する。それだけですわ」