【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

「そんなに怯えなくとも、何も致しませんことよ。わたくしはもう用事は終えましたもの。ここは第一王子殿下と未来のお妃様にお譲り申し上げますわ」

 せっつくようにレイノルドの腕を引いて、馬車を待たせた広場に向かう。すれ違いざま、アルフレッドがたまらずといった顔で話しかけてきた。

「私に婚約破棄されたから弟に乗り換えるとは、上手くやったものだな。やはり私の見立ては正しかった。君と結婚することにならなくて本当によかった!」
「奇遇ですわね。わたくしも、まったく同じことを考えておりました」

 負け犬の遠吠えではない。マリアは、アルフレッドの妃にならないでよかったと、心の底から思っていた。

(この愚かな人のせいで、国が転機を迎えようとしているなんて、嘆かわしいわ)