声の方を見ると、アルフレッドがプリシラと腕を組んで立っていた。仲むつまじく寄り添った二人は、聖地に似つかわしい恋人だった。
 マリアは、ぱっと後ろを向いて被ったスカーフを握りしめた。

(どうして、アルフレッド様までここに!?)

「お前がこんなところにいるなんて驚きだ。しかもご令嬢もいっしょとなれば、喜ばしいことだ。よければご挨拶したい。ご令嬢、私はレイノルドの兄のアルフレッドです。この国の貴族であればご存じかとは思いますが……」

 足音が近づいてくる。マリアが身をかたくしていると、レイノルドは腕をかざしてかばった。

「挨拶は必要ない」