【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

 側近に見放されて、アルフレッドはプリシラの傀儡《かいらい》になってしまったのだ。
 マリアは、仮面が外れないように注意しながら、隣のレイノルドをチラリと見た。第二王子の彼は、双子の兄が孤立していることを知っていたはず。

(わたくしに、あえて言わなかったのかしら)

 レイノルドの意図を考えるマリアに、男は急く様子で話しかけてくる。

「どうだろう? 投資してもらえるだろうか?」
「今日の勝ち分だけお渡ししましょう。換金をお願いしている最中ですから、ここを出るときに受けとるように話をつけておきすわ」

 得体のしれない投資には近づかない方がいいが、マリアはすでに投資話について詳しく聞いてしまった。この場で拒否すれば殺される可能性があった。
 賛同した振りをしておくのが得策だ。幸い、ここは身分を隠して利用できるギャンブル場なので、マリアの手を介さずにお金を動かすことができる。