コデマリの木の下に、トーンの暗い銀髪と冷たい眼差しをもつ青年がいた。
マリアも知っている人物である。剣の腕は立つが上流階級に馴染めず、下町のゴロツキとつながりがあるともっぱらの噂だ。
どことなくアルフレッドに似ているのは、彼が双子の弟だから。
「レイノルド様……、こんな場所でお昼寝をされていましたのね。卒業パーティーに出席なさらないので、ご令嬢たちが悲しんでおられましたわ……」
マリアはハンカチで涙を押えたが、ぐちゃぐちゃになった化粧はごまかせない。
乱れた姿をさらすマリアに察するものがあったようで、レイノルドは「兄貴か」とつぶやいた。
「その様子だと、卒業パーティーで婚約破棄でも言い渡されたか」
「なぜそのことを……」
「高嶺の花と呼ばれるあんたに、そんな顔をさせられるのは兄貴だけだろ。半年ほど前から、プリシラとかいうクラスメイトにぞっこんだから、そうなるのは遠くないと思っていた」
立ち上がったレイノルドは、マリアの前に片膝をつくと泣き顔をじっと見つめた。
マリアも知っている人物である。剣の腕は立つが上流階級に馴染めず、下町のゴロツキとつながりがあるともっぱらの噂だ。
どことなくアルフレッドに似ているのは、彼が双子の弟だから。
「レイノルド様……、こんな場所でお昼寝をされていましたのね。卒業パーティーに出席なさらないので、ご令嬢たちが悲しんでおられましたわ……」
マリアはハンカチで涙を押えたが、ぐちゃぐちゃになった化粧はごまかせない。
乱れた姿をさらすマリアに察するものがあったようで、レイノルドは「兄貴か」とつぶやいた。
「その様子だと、卒業パーティーで婚約破棄でも言い渡されたか」
「なぜそのことを……」
「高嶺の花と呼ばれるあんたに、そんな顔をさせられるのは兄貴だけだろ。半年ほど前から、プリシラとかいうクラスメイトにぞっこんだから、そうなるのは遠くないと思っていた」
立ち上がったレイノルドは、マリアの前に片膝をつくと泣き顔をじっと見つめた。



