「こんなところに連れてきて、わたくしをどうなさるおつもり?」
「あんた、変な呪いにかかってるみたいだから、荒療治するためにきた」
「呪いなんて身に覚えがありませんけれど」
「自覚がないのが一番こわいんだ。あのテーブルにしよう」

 レイノルドは会場の隅にあったルーレットテーブルにマリアを座らせた。

 若い男性ディーラーがホイールを回していて、周りに腰かけた客はチップを積み重ねている。マリアは、他のテーブルと違ってここだけ客層が高いのが気になって、レイノルドに視線を送った。

「心配するな。このテーブルだけ他の十倍の勝負ができるだけだ」
「大問題ではありませんか。わたくし、初心者ですのに」
「俺の言う通りに賭ければ大丈夫だ」

 ディーラーは、マリアに多額のチップを渡した。