【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

 それらは、いずれ国母となる身に相応しいと賞賛された。
 結局、アルフレッドが選んだのは、淡い色合いのドレスが似合う、小柄で愛らしい少女だったのだから皮肉だ。

(そちらの方がお好きだったなら、わたくしもそういう格好をしたのに)

 嘆いても無理なことは分かっている。
 マリアには、可愛らしいピンク色のドレスは合わない。
 ヒールの高さを抑えても背の高さはごまかせないし、派手な顔立ちに至っては、化粧をすればするほど煌めくので手の施しようがなかった。

 アルフレッドは、マリアが努力しても手に入れられないものに、恋をしたのだ。

「っ……」

 涙がこぼれそうになって、芝生の生えた裏庭に下りる。このまま廊下を歩いていたら誰かとすれちがうかもしれない。