ザッと吹いた夏の風が、マリアの髪をなびかせた。
タスティリヤ王国で使用を禁じられている魔晶石が、国を守るために使われている。そして、その事実を国民は――公爵家の娘でさえ知らない。
それだけ重要な機密ということだ。
魔晶石が辺境に埋められていると知られたら、悪用する者が必ず現われる。
「辺境伯が急いで王都にいらっしゃったのは、魔晶石に異変があったからなのですね。何が起きたのでしょうか?」
「それは歴史学者の知るところではありません。ですから、貴方にお教えしようと思ったのですよ。高嶺の花たる美貌と知性、人望を備えた貴方であれば、しがらみばかりの困難な状況でも打開できると――未来の国王陛下を必ずやお助けできるはずだと信じて」
コベントは、国王や辺境伯、ジステッド公爵では問題は解決できないと分かっているのだ。王侯貴族は、下手に動いた場合のリスクが大きい。
だが、ただの公爵令嬢であれば、どんな不敬を犯したとしても切り捨てられる。
「コベント教授。わたくし、辺境が揺らぐ事態になった原因を探ってみます」
真剣な表情で話すマリアに、コベントはこっくりと頷いた。
「手助けが必要ならいつでも申し出なさい」
タスティリヤ王国で使用を禁じられている魔晶石が、国を守るために使われている。そして、その事実を国民は――公爵家の娘でさえ知らない。
それだけ重要な機密ということだ。
魔晶石が辺境に埋められていると知られたら、悪用する者が必ず現われる。
「辺境伯が急いで王都にいらっしゃったのは、魔晶石に異変があったからなのですね。何が起きたのでしょうか?」
「それは歴史学者の知るところではありません。ですから、貴方にお教えしようと思ったのですよ。高嶺の花たる美貌と知性、人望を備えた貴方であれば、しがらみばかりの困難な状況でも打開できると――未来の国王陛下を必ずやお助けできるはずだと信じて」
コベントは、国王や辺境伯、ジステッド公爵では問題は解決できないと分かっているのだ。王侯貴族は、下手に動いた場合のリスクが大きい。
だが、ただの公爵令嬢であれば、どんな不敬を犯したとしても切り捨てられる。
「コベント教授。わたくし、辺境が揺らぐ事態になった原因を探ってみます」
真剣な表情で話すマリアに、コベントはこっくりと頷いた。
「手助けが必要ならいつでも申し出なさい」



