どう答えたらいいのか分からなくて、レイノルドは俯いた。
 すると、予想もしない言葉が降ってきた。

「わたくしが本気だと、命をかけて証明いたします!」
「は?」

 見上げると、マリアは手すりを乗り越えて、空中に身を投げた。

「――マリア!」

 レイノルドはとっさに走り出し、滑り込む形で彼女を抱きとめた。
 ひるがえった深紅色のドレスが少し遅れて床に落ちたときには、座り込んだレイノルドは、マリアを力いっぱい抱きしめていた。

「あんた馬鹿か。もしも受け止めきれなかったら、どうなっていたか……!」
「死んでも構いませんわ。わたくし、レイノルド様を傷つけたままでは生きていけませんもの」

 マリアは、レイノルドの胸に手を当てて、彼の顔を見上げた。
 奇しくもそこは、先ほど痛んだ場所だった。