【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

 だが、マリアは現に流行の画家と二人きりでいた。
 用心深い彼女が、うかつに二人きりになったとは考えにくい。
 誰にも知られたくない話があったのだろう。
 だから、休憩時間が終わったのに席に戻らずに、二人きりで会っていた――。

 ズキン、と胸が痛んだ。別に、剣や矢にうがたれているわけではない。
 ただ、裏切られたのが辛いだけだ。
 長年、一途に想い続けてきた相手が、今まさに離れていこうとしている。

「…………あんたも、俺を好きなんじゃなかったのかよ」
「好きですわ!」