宮殿のテラスでお茶を楽しんでいたマリアは、向かいの席で婚約披露パーティー会場の指示書に目を通していたレイノルドの話に耳を傾けた。

「ああ。ヘンリーの別邸に貴族の令息が集まって、星を見る名目で夜通し酒盛りする催しだ。毎回サボっていたが、今年は行こうかと思っている」
「そうですか。お酒に飲まれませんように」
「あんたも来ないか?」

 さらりと呼びかけられて、チュロスに伸びた手が止まった。

「わたくしも行ってよろしいのですか? ご令息ばかりの中に、女性が一人ではご迷惑なのでは……」
「主宰はヘンリーだぞ。当然、令嬢たちにも声をかけている。…………家には内密に」