――聖女に破滅の預言をされたジステッド公爵令嬢が、王妃に認められた。

 スティルルームから宮殿中にとどろいた噂により、マリアとレイノルドは再び会えるようになった。
 とはいっても、国王が二人に婚約破棄させる可能性は依然として残っている。

 不安にならないと言えば嘘になる。それでもマリアは、落ち込んだ姿を周りに見せないように毅然として振る舞った。

 こういうとき、自分が〝高嶺の花〟で良かったとつくづく思う。
 マリアが気高い表情を作ってさえいれば、誰も深く追求してこない。『こんな状況でも揺るがないとは、さすがジステッド公爵令嬢』と持ち上げるだけだ。

 どうしようもない陰口は立てられるだろうが、そういうのが好きな輩は危害を加えてくるだけの行動力を伴わないので、むしろ安全とも言える。

「……天体観測?」